ロレックス GMTマスター Ⅱ 新旧ペプシを比較する

ロレックス GMTマスター Ⅱ 新旧ペプシを比較する

ペプシベゼルのGMTマスターⅡの最新版はさまざまな変化をもたらしたが、オリジナルと比べてどうだろうか。

最近のロレックスファンの問題点は、飽きるまでロレックスが我々を翻弄するのではないかと考えてしまうことだ。ここ数年のロレックスのデザインアイコンを見てみると、プラチナ製でアイスブルーダイヤルの記念すべきデイトナや、誰もが欲しがっていたサブのダイヤルを採用したエバーローズのヨットマスター.....そしてもちろん、彼らが我々を翻弄しているという証拠は、多くの人に愛されるアイコニックな、あのオリジナルのGMTマスターであるペプシベゼルのアップデートを発表したことだ。2014年、ついにそれをホワイトゴールドで実現したのである。

 最近、オフィスに2本の時計があった。ペプシベゼルのGMTマスターIIの後期生産版と、ホワイトゴールドの輝きを放つ新製品だ。当然、ヴィンテージロレックスの熱烈なファンである我々は、ありったけの怒りと毒をもって新参者を憎む準備をしていた(礼儀正しくだが)。そして、クラシックと新人の2つの時計を対決させ、ダビデ対ゴリアテのような決定的な戦いになると考えていた。第1ラウンドのゴングが鳴る前から結果は疑う余地がないはずだったが、 ここで問題が発生した。WGのGMTマスターIIは、極めて良い時計だったのだ。

 まずはクラシックの定番、アルミニウムインサートのGMTマスターIIの最終モデル、16710から紹介しよう。このモデルは、いわゆるスティックダイヤルのGMTマスターIIの一つで、“II”にはセリフ(文字の縦線の上限に飾りとして付ける短い水平線)がなく、内部にはロレックスのCal.3186が搭載されている(分解していないので推測だが...)。当時最新のブルー パラクロム・ヒゲゼンマイを使ったムーブメントが搭載された最初のモデルの一つだった。視認性が高く、汎用性があり、理想的なトラベルウォッチと言っていい。会議室から見本市会場、バーゼルワールドの長丁場のアフターパーティーまで、ロレックスの偉大なクラシック作品に期待されるような華麗さをもって広範囲に使うことができる。サイズと重さの点でちょうどいいゾーンに位置しており、腕の上に乗ったグレムリンが 「私を見て!」と主張しているように感じることはなく、さまざまな個性を発揮することができる時計だ。 要するに、この時計はロレックスの中でも最も好まれる、つまり「身に着けるのはあなた自身であり、時計に着けられているようにはならない。あなた自身の冒険物語を好きに書いていける(ヘアラインの小さな傷であっても)白紙である」という特徴をもっているのだ。

 さて、新人の話に移ろう。第一印象。新しいGMTマスターII(Ref.116719BLRO)は、ジムに通っているようだ。より筋肉質な時計で、ケースはより頑丈、個々のリンクの重さを感じることができるが、同時に(もちろん、大量の WGを使用している)手首に装着しても煩わしさを感じない。(新しいGMTマスターIIは旧GMTマスターIIに比べて直径が大きい印象を受けるが、興味深いことに、全体的には同じサイズで直径40mmだ)。ブレスレットには奇妙なしなやかさがある。銀行の金庫のような重厚さと精密さの組み合わせは、絶対にあり得ないと思っていた多くの人々をロレックスの貴金属時計に夢中にさせた。ベゼルも重くなってアルマイトの陽気な明るさはなくなり、代わりにセラクロムの鈍い光沢を得た。ベゼルがこの時計の愛称の由来となっているので、それについて説明しよう。

 表面的にどのように感じようとも、セラクロムが単純に優れた素材であることに異論はないだろう。どこまでも傷がつきにくく、年月にさらされても色あせない(かつてピカソが晩年に「なぜこんなにたくさんの陶器を作っているのか」と聞かれた際に「破片は永遠だ」と答えたように)。ロレックスは、ベゼルの青と白の部分を非常に鮮明に切り替えられる製造技術を開発した。そしてもう一つ、とても素晴らしいディテールがある。ベゼルが1時間単位でクリックできるようになったのだ。これにより3つの異なるタイムゾーン(ホームタイム、時針によるローカルタイム、そしてベゼルを基準とした第3のタイムゾーン)での時刻表示が容易になった。

 旧型のGMTマスターIIでずっと気になっていたのがリューズだ。機能的には申し分ないが(ここではロレックスの話をしているのだから)、役割を考えるとちょっと小さすぎると感じていた。新型では問題は解決されている(というか“改善された”)。リューズが大きくなって、時針を現地時間に合わせるのが非常に楽になった。以前も困難な作業というわけではなかったが、ここでもまた機能的に改善されている。ダイヤルデザインは似ているが、同じではない。新しいモデルでは蛍光と針がわずかに大きくなり、瞬時に読みやすくなった。Ref.16710は読むのに苦労するような時計ではなかったが、時差ボケでぼうっとしている時、どこだかわからない、なんだかわからない飛行機の薄暗がりの中では、些細なことが助けになる。リューズガードが大きくなったことも気に入っている。旧モデルのリューズガードはいつも少し申し訳なさそうにしていた。目立たないように努力していたかのようだ。 新しいものは、「いいかい? 我々はリューズガードだ。それが我々だ。 我々でなければならないのだ」と言っているような感じだ。

 最後に、クラスプを見てみよう。16710には完璧に使えるものが付いているが、新しいものにはより安心感のあるオイスターリンクのクラスプが付いていて、耐久性と堅牢性を見事に感じさせている。

 一方はスティール製、もう一方はWG製であることから、これは異なる条件での比較になる。SS製の16710は、実用性を追求した美しい時計であり、パンナムやプッシー・ガロアにまで遡るその歴史は、決して見逃すことはできない。新バージョンはちょっとシュールだ。この時計を最初にWGで発売したことは、控えめに言っても興味深い決断だ。もちろん、我々は皆、SSモデルを固唾を飲んで待っている。最も愛されているツールウォッチを貴金属で作るというのは、実に奇妙なことだ。ロレックスが悪ふざけでこのようなことをしたのではないと確信しているが、同時に、神戸牛を使って模造豆腐を作ったようにも感じる。その逆をただ期待してしまう。

 とはいえ、純粋にツールウォッチとしてのメリットを考えた場合、貴金属を完全に排除しても、この時計が技術的に優れていることは事実だ。ベゼルが改良され、全ての人間工学的要素が向上し、クラスプとブレスレットも良くなり、視認性が向上した。ベゼルの回転を変更して、毎正時にスマートに並ぶようにしたことなどは、ロレックスが我々の最も好きなこと、つまり細部を一つずつ改良していることを確実に示している(欲を言えば、SSよりも腐食しにくいWGの方が実用的な素材であるとも言っていい)。一方で、16710には歳月をかけて得た過去とのつながりを感じさせる魅力がある。新しいペプシも、世の中に出ているうちに魅力を増していくかもしれないが。16710はこれからも愛着のある時計だが、Ref.116719BLROと一緒に過ごしてみると、ロレックスは素晴らしいものをより良くしたと思わずにはいられないのだ。

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